銀表面処理の
小話
銀を空気中にほうっておくと黒ずんでゆくのはよく知られていますが、これは主に硫化による黒ずみです。金やプラチナはその金属が持つ性質上、酸化、硫化しにくいので、表面の変色はあまりみられません。
これだけ聞くと、銀が、プラチナや金に対して、性質上劣っているように感じられますが、色が変わるということは利点として捉えることもできます。銀の表面をあらかじめ処理することで、特有の表情を持たせよう、というのが表面処理の狙いです。
銀の「いぶし」について
現在、シルバーアクセサリーの表面処理(いぶし)には、「六一○ハップ」という温浴剤がよくもちいられています。硫黄を主成分とした、いわゆる、温泉の素で、薬局で売っています。龍棲の指輪も、この「六一○ハップ」によるいぶしを施してあります。
「六一○ハップ」を使っていぶしをする時には、
1)熱めのお風呂くらいの温度に
2)「六一○ハップ」を、かなり低い濃度になるように溶かし
3)銀製品をひたす。
4)やや色がついたら、取り上げて(数秒です)水につけ、
5)再度、「六一○ハップ」水溶液に浸す。
6)好みの色になるまで、これを数回くりかえす。
というのが、ポイントです。この方法だと、色の付きが強く、また発色も良いように思われます。
金古美仕上げ
伝統工芸の世界で用いられる方法です。
1)メチルアルコールに極少量の塩化金を溶かしたものを銀表面に塗る。
2)すぐ乾くので、乾いたら、沃化カリ水溶液(ヨードチンキ)を塗る。
3)10分程度、天日にあてる。
「六一○ハップ」とはまたちがった、重厚な感じのいぶし銀が得られます。
卵の黄身を使って
卵黄でも、銀の表面処理ができます。ゆで卵を作って、黄身が固まらないぐらいの状態で引き上げます。殻と卵白を上の部分だけ取り除いて、まだ液体に近い卵黄の中に銀製品をいれると、銀表面の色が変わります。
いぶしたあとは?
いぶした部分と、地金のもともとの白さとのコントラストを出したいのであれば、光らせたい部分を磨きます。ただし、毎日身に着けて使用するジュエリーについては、こすれる部分=凸部分は、黒く残しておいても、表面がわずかずつ削られて、やがて色は落ちてきます。
つまり、作品を作る段階で、どこを黒く残すか考えて、その部分は凹にしておく必要があります。
その他の金属の表面処理
日本の伝統技法の中には、たくさんの金属表面の処理技術があります。俗に、「煮色」と呼ばれますが、硫酸銅や緑青(炭酸銅)の水溶液で、金、銀、銅の合金を煮て、いろいろな色を出すことができます。彫金工房富銀のホームページに、煮色仕上げの作品も紹介してゆくつもりですので、あわせてご覧ください。
作品紹介ページへ戻る作品紹介のページへ戻る 龍棲 トップページへ龍棲トップページへ


彫金工房 冨銀ホームページへ彫金工房富銀ホームページへ

© 2004 Kobo Tomigin All right reserved. 冨銀 富銀